めぐり瀬戸内海に浮かぶ神の島・宮島(正式には厳島)。
その優美な姿で知られる厳島神社の背後に、母なる山のようにどっしりとそびえ、島全体の神聖な雰囲気を創り出しているのが、標高約535メートルの霊峰「弥山(みせん)」です。
古くから山岳信仰の対象とされ、平安時代初期の弘仁元年(806年)に、かの弘法大師空海によって開かれたと伝えられるこの山は、今もなお手つかずの原生林に覆われ、神々が息づく聖域として、そして修験の道場として、人々の畏敬の念を集めています。
弥山には、1200年以上も燃え続けているという「消えずの霊火」をはじめとする「弥山七不思議」など、科学では解明できない神秘的な伝説や現象が数多く語り継がれており、訪れる者の魂を揺さぶり、日常を超越した特別な感覚へと誘います。
今回は、この宮島弥山の成り立ちや、弘法大師空海が残した奇跡の物語、そしてミステリアスな七不思議の謎を紐解きながら、天空の聖地をより深く体験するための「とっておきのTIPS」を、心を込めてご紹介します。
神聖な気に満ちた弥山で、心洗われるスピリチュアルな旅を体験してみませんか。
【宮島・弥山を訪れる前に知っておきたい!とっておきTIPS】
天空の聖域へ、そして自分自身の内なる神秘へ。
弘法大師様も歩かれた道を辿るために、知っておきたい大切な心得をお伝えしますね。
神聖な弥山への旅を、より安全に、そして心ゆくまで満喫するために、ぜひ知っておいていただきたいヒントをお届けします。
1.天空の聖域へのアプローチと心構え
- 宮島ロープウエーを活用しよう: 弥山中腹までは、宮島ロープウエーを利用するのが一般的です。
「紅葉谷駅」から乗り、「榧谷(かやたに)駅」で一度乗り換え、終点の「獅子岩(ししいわ)駅」へ。
2種類のロープウエーからの眺めも絶景です。
運行時間や料金は事前に確認しましょう。 - 獅子岩駅から山頂まではハイキング: ロープウエー終点の獅子岩駅から弥山山頂までは、整備された登山道を歩いて約30分~1時間程度。
いくつかのルートがありますが、アップダウンや階段もあるため、歩きやすい服装と靴が必須です。 - 服装・靴はしっかりと: 山の天気は変わりやすく、麓とは気温も異なります。
動きやすい服装(パンツスタイル推奨)、履き慣れたスニーカーやトレッキングシューズを選びましょう。
汗を拭くタオルや、雨具、飲み物も忘れずに。 - 弥山七不思議を巡るには: 七不思議のいくつかは山頂付近や登山道沿いに点在しています。
事前に場所をチェックしておくとスムーズに巡れます。
全てを巡るには時間に余裕を持ちましょう。 - 厳島神社参拝との組み合わせ: 多くの方が、まず厳島神社を参拝し、その後弥山へ向かいます。
弥山からの下山時間も考慮して、1日かけてゆっくりと宮島全体を味わうのがおすすめです。
早朝の厳島神社と、午後の弥山なども良いかもしれませんね。
2.弥山の霊気をより深く感じるために
- 時間に余裕を持って: 弥山は、ただ山頂を目指すだけでなく、途中の霊的スポットや自然の美しさを感じながらゆっくりと歩くことで、その真価に触れられます。
急がず、五感を澄ませてみましょう。 - 水分補給はこまめに: 特に夏場は熱中症対策も忘れずに。
獅子岩駅や山頂付近の休憩所で購入も可能ですが、持参すると安心です。 - ゴミは必ず持ち帰る: 美しい自然と神聖な場所を守るため、ゴミは絶対に持ち帰りましょう。
弥山とは?弘法大師が開いた、神々が息づく宮島の奥宮
瀬戸内海を見下ろす絶景と、太古から変わらぬ神聖な空気。弘法大師様も修行されたこの地で、心の深呼吸をしてみませんか。その清浄な気に、魂が癒やされていくのを感じるはずです。
弥山は、広島県廿日市市宮島町に位置し、瀬戸内海国立公園の一部、そして世界文化遺産「厳島神社」の登録区域に含まれる、標高約535メートルの山です。
その山全体が神聖視され、古くから信仰の対象となってきました。
この弥山が霊場として開かれたのは、平安時代初期の弘仁元年(806年)、弘法大師空海が唐での修行を終えて帰国した際に、宮島に立ち寄り、この弥山で100日間の求聞持(ぐもんじ)の秘法を修めたことによると伝えられています。


その際、大師は弥山を鎮護国家の霊山と定め、本尊として虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)を祀ったとされています。
以来、弥山は山岳信仰と真言密教が融合した修験道の聖地として、多くの修行僧や参拝者を受け入れてきました。
山頂付近は、暖温帯では珍しい原生林(天然記念物)に覆われており、モミ、ツガ、カシなどの巨木が生い茂り、太古から変わらぬ神聖な雰囲気を今に伝えています。
一歩足を踏み入れると、そこはまさに神々が息づく「宮島の奥宮」と呼ぶにふさわしい、清浄で厳かな気に満ちた空間です。
弥山七不思議 – 1200年の時を超えて語り継がれる神秘の物語
科学では解明できない、摩訶不思議な現象の数々。
それは、この山が特別な霊力に満ちた場所であることの、確かな証なのかもしれませんね。
一つ一つの不思議に触れるたび、心が浄化されていくようです。
弘法大師が開山して以来、弥山には数々の神秘的な現象や伝説が語り継がれており、それらは「弥山七不思議」として知られています。
これらの不思議は、弥山がいかに霊験あらたかな場所であるかを物語っています。
- 消えずの霊火(きえずのれいか): 弥山本堂近くの霊火堂(れいかどう)に灯るこの火は、弘法大師が修行の際に焚いた護摩の火が、以来1200年以上もの間、一度も消えることなく燃え続けていると伝えられる、弥山最大の奇跡です。
この霊火で沸かした霊水を飲むと万病に効くとされ、また、広島平和記念公園の「平和の灯」の種火の一つにもなりました。
「恋人の聖地」のモニュメントの灯としても使われ、縁結びのご利益もあると言われています。
この火を前にすると、悠久の時と大師の強い祈りの力を感じずにはいられません。 - 錫杖の梅(しゃくじょうのうめ): 弘法大師が立てかけた錫杖(修行僧が持つ杖)が、いつしか根を生やし、梅の木になったという伝説があります。
この梅は、弥山の厳しい環境の中でも花を咲かせ、大師の法力の証とされています。
開花時期には、その可憐な姿を見ることができます。 - 曼荼羅岩(まんだらいわ): 山頂付近にある巨大な岩壁で、自然の岩肌に、弘法大師が筆で書いたとも、あるいは自然に梵字や仏様の姿が浮かび上がって見えるとも伝えられています。
見る角度や心の状態によって、様々なものが見えてくるとも言われ、まさに神秘的な岩です。 - 干満岩(かんまんいわ): 弥山本堂のそばにある、直径10センチほどの小さな岩穴。
不思議なことに、この山中の岩穴の水位が、麓の海の潮の満ち引きに合わせて上下すると言われています。
科学では説明のつかない現象の一つです。 - 時雨桜(しぐれざくら): 晴れた良い天気の日でも、この桜の木の下だけは、まるで時雨が降るように露が滴り落ちてくるという不思議な桜。
現在は枯れてしまったという説もありますが、その伝説は語り継がれています。 - 龍灯の杉(りゅうとうのすぎ): 旧暦の元日の夜になると、宮島沖に龍神が灯すという無数の灯火(龍灯)が現れ、それらがこの杉の木を目指して上がってきたという伝説があります。
この杉も現存は定かではありませんが、龍神信仰と結びついた神秘的な話です。 - 拍子木の音(ひょうしぎのおと): 深夜、弥山本堂のあたりで、誰が打つともなく拍子木の音が聞こえてくることがあると言われています。
その姿は見えず、弥山に棲むという天狗の仕業ではないか、などと囁かれています。
これらの七不思議は、弥山がただの山ではなく、人知を超えた力が働く聖域であることを、私たちに強く感じさせてくれます。
弘法大師空海の足跡を辿る – 弥山本堂と霊的スポット
弘法大師の深い祈りと、修行の厳しさが刻まれた聖地。
その霊気に触れることで、私たちの心も清められ、新たな力が湧いてくるようです。
弥山は、弘法大師空海が修行を積まれ、その霊力を今に伝える聖地。
山中には、大師ゆかりの場所や、篤い信仰を集めるお堂が点在しています。
- 弥山本堂(求聞持堂): 山頂近くに建つ弥山の中心的なお堂で、ご本尊は虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)です。
弘法大師が100日間の求聞持の秘法を修めた場所とされ、堂内には大師像も祀られています。
知恵や記憶力増進、福徳円満のご利益があると言われ、厳かで清浄な気に満ちています。 - 霊火堂(れいかどう): 弥山本堂のすぐそばにあり、前述の「消えずの霊火」が護られています。
堂内は護摩の煙の香りが漂い、1200年以上燃え続ける火を前にすると、時空を超えた祈りの力を感じずにはいられません。
ここで霊火にあたり、霊水をいただくことができます。 - 大日堂: 宇宙の真理そのものを表す大日如来をお祀りするお堂。
静かな佇まいの中で、ゆっくりと手を合わせることができます。 - 観音堂・文殊堂: 観音菩薩、文殊菩薩がそれぞれ祀られており、人々の悩みや苦しみを救い、知恵を授けてくださると言われています。
- 不動岩: 巨大な岩が御神体として祀られ、不動明王の気配を感じるパワースポットです。
- 弥山山頂(展望台): 標高535メートルの山頂からは、瀬戸内海の多島美を一望できる360度の大パノラマが広がります。
眼下に広がる絶景は、登ってきた疲れを忘れさせ、心からの解放感と達成感を与えてくれます。
ここからの眺めは、まさに神々が見る景色と言えるでしょう。
これらの場所を巡ることで、弘法大師がこの地で何を感じ、何を祈ったのか、その一端に触れることができるような気がします。
弥山の原生林と自然 – 地球の生命力を感じる聖域
太古から変わらぬ姿を残す森は、まるで生きている聖域。
深呼吸すれば、心と体が自然のエネルギーで満たされていくのを感じるでしょう。
弥山のもう一つの大きな魅力は、その山全体を覆う、手つかずの原生林です。
この森は、国の天然記念物にも指定されており、モミ、ツガ、カシ類などの温帯性針葉樹林と暖帯性広葉樹林が混在する、学術的にも非常に貴重な植生を保っています。
一歩森に足を踏み入れると、そこはまさに神々が太古から守り育ててきた聖域。
巨木が天を覆い、清らかな空気が満ち、鳥のさえずりや風の音が心地よく響きます。
四季折々にその表情を変え、春には新緑が目に鮮やかで、夏には力強い生命力に満ち、秋には山全体が錦に染まる紅葉が見事です。
森林浴をしながらゆっくりと山道を歩けば、日々のストレスや疲れが癒やされ、心身ともにリフレッシュできるのを実感するでしょう。
また、山中には「くぐり岩」や「屏風岩」など、自然が創り出したダイナミックな巨石や奇岩も点在し、その力強いエネルギーを感じることができます。
この弥山の原生林は、私たちに、自然への畏敬の念と、地球という惑星の持つ大いなる生命力を思い出させてくれます。
深呼吸をして、その清浄なエネルギーを全身で受け止めてみてください。
おわりに:弥山が授ける、魂の覚醒と聖なる導き
神宿る霊峰、宮島・弥山。そこは、弘法大師空海の深い祈りと、1200年燃え続ける「消えずの霊火」をはじめとする七不思議の神秘、そして太古から変わらぬ原生林の生命力に満ちた、まさに天空の聖地です。
弥山への旅は、時に険しい道のりを伴うかもしれませんが、その先には、日常では決して味わうことのできない、魂が震えるような感動と、深い精神的な気づきが待っています。
七不思議の神秘に触れ、弘法大師の霊験を感じ、そして壮大な自然との一体感の中で、あなたの心は浄化され、内なる声に耳を澄ませることができるでしょう。
それは、まるで魂が覚醒し、新たな自分へと生まれ変わるような、かけがえのない体験となるはずです。
もしあなたが、日常を超越した何かを求めていたり、自分自身の可能性をさらに開花させたいと願っていたり、あるいはただ純粋に、この宇宙の神秘と繋がりたいと感じているのなら、ぜひ一度、宮島・弥山の神聖な気に触れてみてください。
きっと弥山は、あなたに聖なる導きと、未来を力強く生き抜くための、清らかなエネルギーを授けてくれることでしょう。
そして、その天空の祭壇で感じた宇宙の響きは、あなたの人生をより豊かに、そして深く照らしてくれることでしょう。









